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マーケティングのアポリア

どのような製品を作れば、お客さんに喜んでもらえるか。どのような広告を作れば、話題になるか。どのような営業をすれば、効果的か。
こうしたマーケティングの成功条件を、ビジネスの現場で働く方たちは、実によく知っておられます。
ところが、経験や知識に富む、優れたスタッフを揃えた会社が、順調に業績を伸ばしているかというと、必ずしもそうではないようです。

わかってはいるのに、抜け出せない

「こんな無理な営業をしていては、アフターサービスに負荷がかかる。」 1人の営業マンが、こう考えたところで、会社全体の仕事の進め方が変わるわけではありません。結果的に、無理な営業がまかり通り、アフターサービスに人手と時間をとられ、利益が圧迫されていく。何とかしようとして、さらに無理な営業で挽回をはかる。まさに悪循環です。
似たような悪循環は、営業以外のセクションでも起こります。しかし、これは、現場の担当者個人の勉強不足や意欲の無さを責めたところで、解決するはずのない問題です。

仕組みのなかで仕組みをデザインする

会社とは、チームあるいは組織で仕事を行うところです。マーケティング不全を脱するには、仕事の分担や段取り、責任やインセンティブといった、仕組みとしての会社のデザインを考え直さなければならないことが多いのです。
とはいえ、プレー(仕事)をしながら、自らのプレーが依拠するルール(仕組みのデザイン)を問い直すことは、容易なことではありません。目の前の仕事に忙しい現場の人たちだけで議論をしても、行き詰まることになりがちです。しかし、現場との接点のない、われわれのような研究者やコンサルタントだけで改善策を検討しても、それはそれで空論になりがちです。

出会いから生まれる創発

こうした閉塞状態を突破してくれるのが、対話であり、交流です。現場の経験、そして理論的フレームワークという、異なったバックボーンをもった人たちが、異なった情報や知識をぶつけ合うことによって、新しい知恵やアイデアが創発する。
iCLを通じて、こうした創発のネットワークが広がっていくことを期待しています。

神戸大学大学院経営学研究科
教授

1966年生まれ。
1997年神戸大学大学院経営学研究科博士課程修了。
岡山大学経済学部助教授を経て、2003年より現職に。
専攻はマーケティング、ブランド・マネジメント、
マーケティング・コミュニケーション。
マーケティングの有効性を高める手法や仕組みづくりを得意とし、
市場環境を分析し「売れる」を実現するためのフレームワークを解明している。
現在、「高度情報化社会におけるマーケティング・コミュニケーションの問題」を
基本テーマとし、研究を推進中。
セミナーや企業研修の講師の他、企業の市場調査やブランディングに関わる。
テレコム社会科学賞奨励賞を受賞。