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研究者との部分的な関係

マーケティング研究者と何ができるのだろうか。こう疑問を持たれている実務家は、多いのではないだろうか。そうでないとしても、研究者に最新のマーケティング理論の社内講演をしてもらうくらいのイメージなのかもしれない。その講演を聴いても、我が社の状況は特殊だから、そんな理論なんて使えそうにないという感じだろうか。たしかに、現実のビジネスは複雑で、理論なんてとても使えそうに見えない。一方、自然科学の分野においては、技術開発や設計などの共同研究が企業と研究者によって積極的に行われている。お互いの協力で、新しい知見を発見・発明しようとしている。
これらに比べると、マーケティングにおける企業と研究者との取り組みは、ずいぶん部分的でしかないようにみえる。

アカデミック・リレーションズ

だが、こうした見方は、変わりつつある。実は、先進的な企業では、企業と研究者とのマーケティングに関する共同研究も始まっている。企業の深い専門的知識と、研究者の理論的知識との相乗効果によって、市場から新しい知見を見出したり、あるいは、新しいマーケティングの仕組みを創りだしたりするという試みである。
こうした企業と研究者の幅広い取り組みは、「アカデミック・リレーションズ」と呼ばれる。

では、こうしたアカデミック・リレーションズにおいて、
何が重要なのだろうか。

実務家と研究者との両方を経験してきた立場から考えると、両者の視点にギャップがあることに意味がある。つまり、企業の現場の専門的知識に基づく意見と、研究者の理論に基づく意見との差である。差がない方が良いと思うかもしれないが、むしろこうした差があることが、意図せざる結果の発見を導き、創発的なアイデアにつながる。
そのため、企業は、研究者からマーケティング理論を学ぶという姿勢ではなく、研究者と共に、自ら知見や仕組みを明らかにしていくという能動的な姿勢をもつことが重要である。
企業の人々が、理論的な視点をもち、自分自身で気づき使いこなすくらいにならないと、本物にならない。どこからかの受け売りや、借り物の知見や仕組みでは難しいのである。

では、
創造的なマーケティングを一緒にはじめましょう。

法政大学経営学部
教授

1962年生まれ。
1985年株式会社ワールドに入社し、SPAの仕組みを構築。
2000年ムジ・ネット株式会社の取締役に。
無印良品ポータル&コミュニティサイト、
消費者参加型新製品開発、住宅ビジネスなどの新規事業を立上げる。
一方、2004年神戸大学大学院経営学研究科博士後期課程修了、
2005年現職に。
専攻は、マーケティング論、製品開発論。
現在は、「企業と消費者との創発のメカニズム」をテーマに、
インターネット・マーケティングや、ネット・コミュニティ、
デザイン・プロセスなどの研究活動を行う。
セミナー講師他、企業のマーケティング戦略策定に参画。
他、ブランド・ジャパン企画委員。